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カズちゃんの幻のスイカ畑。~声なき声を感じられる人であるように~
2019年10月01日

先週、遅い夏休みと療養を兼ねて山形に滞在していたのですが、
最終日は、どうしても行きたかった場所で久しぶりに再会したのが、こちらの方。
お顔は出せませんが、日に焼けたイケメンさんです。
山形県の尾花沢という地域で生活しているカズちゃんという知り合いで、
8月末、幻のスイカを沖縄の自宅まで届けてくれた生産者の方でもあります。
スイカを送ってくれたのは、数年前にカズちゃんを紹介してくれた僕の友人。
*「一生忘れられない夏の思い出。~幻のスイカと優しい鶏そば~」
30年前まであった昔ながらの甘くて香り豊かな尾花沢スイカを復活させようと、
それまで勤めていた会社(そこでもスイカの栽培、品質管理、販売などをしておられた)を退社し
数年前に独立して、尾花沢市内に点在する8カ所の広い畑を耕し、
スイカを始めとする、色々な野菜を育てています。
カズちゃんが作るスイカが何故、「幻のスイカ」と呼ばれているのかと言えば、
ほとんど市場に出回っておらず、山形県内のみならず県外の人が口にする機会が
今のところほぼないからです。
以前、一緒に山形に旅行で出かけて、今回、僕が体調不良で微熱続きだった時に
スイカを送ってくれた友人が、以前の山形旅行の時にカズちゃんを紹介してくれて、
それからほぼ毎年、夏の時期にカズちゃんのスイカが友人経由で届くようになりました。
ただ今年の夏は東南アジア出張で病気と入院をして
帰国後もなかなか体調が戻らず、食べ物をあまり受け付けない一番ピークの時に
タイミング良くカズちゃんのスイカが届いたので
注文してくれた友人と、そのスイカを作ってくれたカズちゃんには本当に感謝しています。
1口食べると、病気で弱っていた身体の中にスーッと入っていく感じで、
微熱が続いていたこともあり、とにかくスイカの瑞々しさと甘さが身体全体に染みわたって
元気を取り戻していく感覚を静かに感じたので、
「少しでも身体が動くようになって、また山形に行く機会があれば絶対に直接、カズちゃんに
この感想とお礼を伝えよう。」と思っていて、今回、その本懐を遂げることが出来ました。


尾花沢市内で待ち合わせをして、そこからカズちゃんの車で
市内に点在する畑を案内してもらいましたが、これがまた広い、広い。
友人から話は聞いていたのですが、実際にこの目でスイカを栽培している畑や
その他の野菜を栽培している畑などを見て回っているだけで、
「これだけの広さの畑を毎日、耕し、品質管理し、出荷までこなし、
おまけに来年の栽培の準備を雪が積もる季節までに終わらせておかなければいけないのか。」と
それがどれだけの重労働なのか、素人でも想像に難くないほど大変なものだと理解できました。
一カ所に全ての畑があるのではなく、市内あちこちに8カ所点在しているため、
一番遠い畑と畑までは距離にして5kmも離れており、
1つの畑の作業が終わったら、また次の場所まで移動して・・・ということを繰り返しておられるそう。
カズちゃんに尋ねてみると、
独立して数年が経ち、これまで純粋な休みは僅か年に5日ほどなんだそうです。
スイカの栽培だけではなく、季節の野菜の栽培もあり、雪で覆われる季節は、
農作業が出来ない変わりに、色々な栽培計画を立て、
経営者でもあるので、来年、どのようにしたら消費者のニーズにより答えられるのかを
色々な側面から考える日々・・・。
カズちゃん曰く、スイカはただ大きく育てればいいだけではなく、
いくら品質が良かったとしても、大きすぎても小さすぎても消費者のニーズに合わなければ
商品として成り立たないそうで、
そのために栽培する前の年から、畑の肥料の量を計算、計画し、
考え得る限りの戦略を立てて来年の栽培に取り掛かるそうです。
「スイカの実がなり、出来上がってしまってから計画を立てることは出来ませんから。」とのこと。

僕が訪れた9月下旬の季節は、ちょうどスイカの栽培も終わり、
来年の栽培に向けて、後片付けをしながら次の計画を立てておられる段階でした。
「後片付け」と簡単に言葉で表現しましたが、これだけ広い畑がいくつも点在し、
おまけに1つ1つが、とにかくずっしりと重い残りのスイカを撤去したり、
そのまま土の肥やしにするために砕いたりしていくのですから、
たった1つの後片付けの作業を想像するだけで、
それがいかに大変なのかも十分に伝わってきました。
一通り市内に点在する色々な畑を案内してもらった後は、
カズちゃんの自宅にある農作業に使う機械やビニールハウスなどを見せてもらったのですが、
今回、どうしても直接、スイカを食べて少しずつ元気を取り戻していったお礼を伝えたかったので、
ようやく、そのことをご本人を目の前にお話しすることが出来ました。
するとカズちゃんはとても照れながら、
「スイカを生産することで精一杯で、それを生み出した後、消費者の方が
どのような思いで、そのスイカを食べているのか知る機会がないので、
なんだかとても不思議な気分です。」と嬉しそうに伝えてくれました。
僕は昔から、地に足つけてそれぞれが生きる場所で
直向きに懸命に生きていく人たちが大好きで、そこに触れることが
全ての元気の源になっているのだろうなということは今も昔も全く変わりありません。
今でも交流があるアナウンサー受験時代の恩師も、昔から同じことを仰っていたのですが、
アナウンサーは普段はなかなか声が届かない、
そしてなかなか世間に知られる機会もない声なき声を広く届ける仕事も担っていて、
自分はその中継ぎ役をすることに、その仕事の遣り甲斐を感じる・・・と。
この世の中、どうしても目立つもの、注目されやすいものだけが
全ての情報かのように取り上げられてしまいがちですが、
そんなものは世の中の1割程度に満たないものであり、
本当は声なき声、ただ直向きに自分が与えられた環境の中で
自分が出来ることを淡々とやりながら、大地に根を下ろして生きている人たちが大勢いて、
そのような支え、生き様に触れる機会があるからこそ、
人は人として真っ当な生き方を生きることの後押しや勇気をもらえるものだと常々感じています。

カズちゃんが毎日、毎日、畑と向き合い、その時の利用目的に応じて使用する
耕運機や色々な機械を眺めながら、
言葉だけでは感じられないカズちゃんの苦労と、それ以上に感じられる生産者として生きる喜びを
ひしひしと感じながら、僕は僕が与えられた環境で直向きに生きていこうと
改めて思えた温かい時間でした。
人はどうしてもより目立つこと、世間が良いと言えば右向け右と
流行りものだけに心を奪われる脆弱さというものを持ち合わせているものですが、
それを補ってくれるものが、自分自身の豊かな感性を養ってくれる知識や教養、
人間性だと思っています。
日和見主義に陥ることなく、自分の目で見て、自分の経験や知識で感じて、
自分で色々な物事を判断できる人としての品格というものは、
上っ面の知識やインターネットの情報だけでは決して学ぶことが出来ません。
地に足つけて直向きに日々の生活を生きていくということが、どういうことなのか、
頭の中がお花畑になっている浮ついたアホウどもにも声を大にして伝えたいところですが、
まぁ、他人、とくに馬鹿が変わることは難しいので、
僕はこれからもこのような素敵な声なき声、直向きに生きている人たちの姿に触れて
素直に感動した出来事などがあれば、このブログでシェアしていきたいと思っています。
また来年、カズちゃんの美味しいスイカを食べられることを期待しながら、
とにかく今、与えられている1日1日を生きていこうと思っています。
Posted by 山野本竜規 at 14:21
│心の在り方 (2,645)▼