意地とリベンジの国境越え。~12年前の雪辱!?を果たす日帰り旅~

山野本竜規

2025年02月05日 09:38



なんだか思いっきり壮大な今日のブログのタイトルのように思えますが、
要するに日帰りでハンガリーのブダペストから国境を越えて
別の国に弾丸旅行に出かけてきました・・・という内容です、汗。

一昨日の夜、僕は滞在先の民泊に戻ってきて迷っていました。
「さて、明日の予定はどうしようか。」と。

ブダペストは今回で6回目の訪問なので、市内の主な観光名所は
ほぼ行き尽くしており、丸一日使って出来る次の計画と言えば、
近隣国への弾丸日帰り旅行くらいしか思い浮かばす、
候補が2つ。1つは車や電車で約2時間半ほどで気軽に行ける
お隣、オーストリアのウィーン。

そして、もう1つは・・・。
そう、思い出した、12年前に僕自身の情けない失敗で国境越えが
出来なかった、あの国、あの都市のことを。

僕の遠い記憶を思い返しながら、過去のブログを遡って
検索してみると、出てきました。

*「またまたパスポート事件。~警察に連行されるの巻~」2013年9月20日

2013年9月の出来事まで遡るのですが、
当時、オーストラリアでの生活から日本に帰国後、
ヨーロッパ旅行を兼ねて
オーストラリアで知り合ったスロベニア出身の知り合いに会いに行ったのですが、
そのスロベニアの首都・リュブリャナから日帰りで、
お隣の国のクロアチアの首都・ザグレブに行く予定だったのです。

スロベニアもクロアチアも以前は同じユーゴスラビア連邦で
それぞれが独立した形なので、
「そこまで国境越えのハードルは高くないだろう。」と。

ところが、2013年は、ようやくクロアチアがEUに加盟したばかりで、
同じEUと言えども、国境越えのためにはパスポート持参が必須だったので、
僕もこのことは覚えてはいたものの、
日帰り旅行ということもあり気を緩めていたのか、当日、リュブリャナのホテルの部屋に
国境越えに必要なパスポートを置いて出てきてしまったのです。

しかもそのことに国境越えの駅に到着し、チェックするまで気づかなかったという、
まぁ、いつもの情けない僕の失敗が原因だったのですが。

「もし、次、クロアチア近辺を旅行する機会があれば、絶対、リベンジを果たすぞ。」と
2013年にその誓いを立ててから12年が経過。

幸い、今回はスロベニアではなくハンガリーに滞在していて
しかも自由時間がたっぷりある無計画の旅なので、
「ウィーンはもう何度も行っているし、国際列車の旅も捨てがたいけれど、
やはり、ここは、12年前の雪辱を果たしておいたほうが心残りないよね。」と
その日の夜、つまり弾丸旅行の前夜にパソコンを開いて、
色々な行き方をネットで調べて準備するという適当さ。

調べてみるとブダペストから、お隣・クロアチアの首都ザグレブまでは
飛行機は別として、その他に国際列車とバスが出ていることが判明。



距離にして約344km、日本で言えば東京⇔名古屋くらいの感覚ですね。

ただ、陸路の鉄道の場合、距離は340kmなのに所要時間は6時間超え、
しかも本数が少なく、夜行列車だと10時間以上かかるとのこと。

という訳で弾丸日帰りの場合、鉄道の選択肢は消えて、
唯一残ったのは、バスという。しかも前日の夜に果たして予約できるのかどうか。



・・・という心配は杞憂に終わり、あっさりとチケットが簡単に予約出来てしまいました。

多分、2013年頃からだと思うのですが、
それまでヨーロッパの旅は主に飛行機か鉄道、または自家用車(レンタカー)がメインで
あまり国境越えのバスというのは見かけなかった記憶があります。

ただその頃を境に、ドイツのバス会社、Flixbusという緑色のバスが普及し始め、
これが、なるべく経費を節約したい若者の旅行者や出張者に大人気になり、
今ではヨーロッパを縦横無尽に走る代表的な移動手段として認知されているようです。
まさに高速バスのLCC版という位置づけでしょうか。

値段も安くて、予約も取りやすく、結構、普段はたどり着けないような地域まで
路線が充実しているため、ヨーロッパ旅行者の間では人気のバス会社なのです。

ちなみに今回、出発前日の直前の夜にネットで予約して、
ブダペスト⇔ザグレブ間の往復が約9千円。
最前列が一番良い席で特別料金がかかり、なんと隣の席も追加で僅かな料金を支払えば
ブロックできるため、最前列のフロントビューを眺めながら、のんびり旅が出来ます。

これで全て込みで9千円で、他の席の場合だと6000円前後で予約出来てしまいます。

意外だったのは、やはりバスのLCC版なので、出来るだけ節約したい旅の利用者が多く、
安い後方や真ん中の席から順に埋まっていき、
特別料金(と言っても千円~2千円前後)がかかる最前列や前から4列目までの席は
がら空きという逆転現象が起こっているという点。

ほんの僅かな特別料金を支払えば、最前列で隣の人を気にせず過ごせるのですから
僕のような利用者にとっては、本当にラッキーな予約事情でした。
前日の夜、しかも出発は朝8時という直前で、この状況ですから。

全てその場でのネット決済で、登録したEメールに
出発時刻などの案内と共に、QRコードが送られてくるので、
あとはバスの乗車前、入り口前で待機している運転手が持っている読み取り機に
そのQRコード(スマホのスクショでOK)をかざせば、簡単に乗車できるシステムです。
これも本当に便利。

 

 

という訳で、翌日は朝7時前に滞在先の宿を出発し、
最寄りのM3の地下鉄に乗って、バスターミナルがあるブダペスト市内の駅へ。
ブダペストからは最初にこの地下鉄駅直結のバスターミナル、
そしてもう1つの少し離れた場所のバスセンターに立ち寄ってからザグレブに向かう形になります。
地下鉄駅からバスターミナルに向かう通路に
パン屋さんなどもあるため、僕はここで朝ご飯用のパンを買って
地上のバスターミナルに向かい、バスが来るのを待ちました。

所用時間は約4時間半。
朝8時に地下鉄駅直結のバスターミナルを出発して12時半頃に到着予定。
途中、高速道路の休憩所に15分くらいのトイレ休憩を挟んで目的地に向かいます。
(トイレはバス中央の入り口横に設置されている)

 

 

当日、窓口で直接予約もできるようですし、
特別料金が発生する(千円~2千円程度で最前列が一番高い)前方4列は
空いていて快適なので、ほんの少し余裕がある方には、こちらをお勧めします。

その代わり、後方はカオス・・・、いえ、あとからまた詳しくお伝えしますが、
節約旅目的の旅行者が多いため、少しマナーが悪い人たちで一杯で
ぎゅうぎゅう詰めでした、笑。
さすがヨーロッパのLCC版バス会社という感じ。


運転手からの案内は一切なく、予約した人が乗り込んだ時点で
時間関係なく出発、運転はヨーロッパ全体に言えることですが、かなり荒め!?です。
あとシートベルトも各自で適当にしてね・・・という感じで、注意もされません。

市内のガタガタ道では、かなり揺れるため、
前のドリンクホルダーに入れていたペットボトルが振動で床に落ちてしまうほど。
ドリンクホルダーの意味なし・・・というくらい揺れます、笑。

でもアウトバーンなど高速道路に入ってしまえば揺れは安定しますので、
ずっと揺れているという訳でもありませんでした。

  
 

一応、予約時の案内には、車内ではWiFiが使え、
電源も使えるとの記載がありましたが、
この辺もバスのLCCという感じで適当で、WiFiは一切繋がりません、笑。
ネットワークの表示すらありませんでしたから。

あと電源は使えるものと、使えないものがあって、
僕の座席の場合はUSBは使えたけれど、普通のコンセントタイプのものは
故障して使えませんでした。まぁ、バスのLCCですからね。
その辺はあまり期待していません。

ご覧のようにバス中央の入り口横に小さなドアがあって、ここがトイレになります。
僕は使わなかったのですが(途中、2時間経過後に休憩所に立ち寄るので)
いざという時や、トイレが心配という方も安心ですね。



いざブダペストで2つのバスターミナルを経由して高速道路に入った途端、
後方席(値段が安い席)に座っていた50代くらいのロシア人グループが
4人くらい、ざわざわと前方の空いている席に移動してきました。

このバス、全席指定で、前方は特別料金がかかることを知っているにも関わらず、
運転手が高速道路で運転に集中しているのをいいことに
空いている前方席にやってきたのです。
さすがバスのLCC、全ての人という訳ではありませんが、
一部の乗客の民度というかマナーもお値段以下のそれなりです、汗。

でも運転手も負けていませんでした。
高速道路を猛スピードで運転している中、バックミラーを覗き込んだ瞬間、
凄い鬼のような形相に変わり、突然、大きな声の英語で
「お前ら、後ろの席に戻れ~!」と怒鳴り倒したのです、笑。

この剣幕にビックリしたのか、卑怯な手段を使って無料で
特別料金を支払わずに前方席に座ろうとしたロシア人グループ、
しかも50代の男女の大人のグループなのに本当に情けないのですが、
運転手に怒鳴られた瞬間、そそくさと後方の席に戻っていきました。

その間も運転手は何やら現地語でぐちゃぐちゃ文句を言いまくっていました。

きっと、「まったく、本当にしょうもない連中だな。」とでも言っていたのでしょう。

いや、本当にみっともないというか、しょうもないのですが、
実はこれ、帰りのバスでも中国人グループが同じことをやらかしていたのです。
きっとこのFlixBusでは日常茶飯事の光景で、運転手も怒鳴り慣れているのでしょう。



それでも4時間半のバスもあっという間で、
いつの間にやらハンガリーとクロアチアの国境に近づいていました。

色々な情報によると、2023年くらいまでは、クロアチアの国境越えの際、
通過点で警察などによるパスポートチェックが行われていたようですが、
現在は素通りで何事もなく無事に国境越えが出来てしまうのです。

12年前の雪辱を果たすつもりでいたのに、こんなにもあっさりとパスポートなしで
(念のため持参しておきましたが)
しかも、ただの高速道路を通って、橋を渡ったらクロアチアだなんて、
バスの乗客もほとんど、その国境に気づかずに、バスも普通に通過していきました。



クロアチアの首都ザグレブには大変申し訳ないのですが、
僕の今回の目的は、12年前の雪辱を果たすための国境越え、
ただの意地とリベンジをするためのクロアチア入国というのが一番の目的だったので、
この高速バスで普通の高速道路を走って、誰も気づかないうちに通過してしまった
国境を越えた時点で、今回の弾丸日帰り旅の目的の8割は終わった気分だったのです、笑。

あぁ、何の感慨も達成感もないまま、あっけなく国境を越えてしまった・・・。
これが正直な今回の感想になります、笑。


(国境あたりの景色)

僕が見落としていただけなのか、それとも本当に何もなかったのか、
ハンガリーとクロアチアの国境、「ここから別の国です!」という大きな目立った看板などは
一切なくて、本当にただ高速道路を走っているだけだったのです。

とりあえず、これで僕の12年越しのリベンジを果たせたことになります。

12時半、ほぼオンタイムでクロアチアの首都・ザグレブに到着し、
帰りは18時半のバスなので、約6時間ほどの滞在となりましたが、
ザグレブでの感想は、また次のブログにて。

あくまで超個人的な感想なのですが、
総じてヨーロッパのバスのLCC版であるFlixBusは前方であれば、それなりに快適でした。

場所や移動距離によっては10時間超えの長距離路線もあるのですが、
さすがに今の僕には、そこまでの労力をかけての移動は難しいと感じますので
今回のように鉄道よりも時間がかからず、片道4~5時間くらいであれば
まだ体力的にも余裕があるのかな・・・ということで、
もしまたヨーロッパに来る機会があるのであれば、このフリックスバスでの移動も
検討して、行ったことがない地域や国に出かけてみるのもアリかなと思いました。

●運転手の運転は総じて荒い。
●後方席は節約旅の旅行者多めなのでマナーが悪いこともある。
(貴重品の盗難なども気を付けなければいけない)
●移動費はかなり安め。

これらの条件が許容範囲なのであれば、お勧めのバス旅となりますよ。

リベンジの国境越えも、年月が経てば、こんなにもあっさりとしたものになるのですね。
改めて時間の経過と世の中の変化を感じたバス旅でした。







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